石毛事件、追記

 昨日のエントリの石毛事件についてだが、書き漏らしていたことがあったので追記する。

 灸を据えたことが原因で死亡したとされるマックウェン伍長についての衛生兵の証言*1

「俘虜マックウェンは連日注射を受けるため医療室に来た。脚気に対する灸治療の結果局部に炎症を誘発し、その治療も必要となった。彼が死亡直前診断に来たときは脚気はさして重症ではなかったが、右足の激痛を訴え、局部は腫脹し赤色を帯び、高熱であった。軍医は入院を命じ直ちに手術を受けたが、同日死亡した。死骸は収容所に還送された。・・・局部炎症の原因となった灸を据えたのは自分ではなく、自分が着任したときはすでに、灸を受けた後であった。
(四月十九日午前 第六回公判、終戦連絡横浜事務局担当者の傍聴記)  P199

グッジオン一等兵の宣誓口述書

「川崎第五分所にいる間、私たちが最も苦しんだのは栄養不良による脚気であり、収容所職員に医療的支援を求めていました。収容所の通訳は、私たちに、収容所の指揮官は日本人の厳正なる信念に従って、付け木様の装置(仕掛け)でもって私たちに火傷を負わせていたと話していました」、「私は脚の一〇ヵ所ほどに火傷を負わされました。マックウェンは、背中や腹部、脚に一五ヶ所、あるいは二〇ヵ所ほどの火傷を負わされました」、「これは二五セント貨サイズのスポットに、接着剤のようなものを置いて(placing a glue like substance on a spot the size of a quarter)、棒状の付け木、これは1インチほどの長さで火がついているものですが、これによって行われます。付け木が物質に点火され、ひどい火傷になります」、「この処置に従うのを断ったために警備員の一人から日本の上靴で激しく叩かれた第七〇一部隊のSgt. O'Raabという者がいます。彼の顔は酷い打撲で一時、痕が残っていました。私は、このような火傷を負わせる行為は、現代日本の信仰(信念)に従ったものではなく、単に、故意による拷問(虐待)を犯したに過ぎないと思います」
P200

*1:なお、マックウェン伍長は脚気に罹っておりその治療のため灸を据えられていた