道徳的にどうなのか。

以前、こんな文章を書いた

 ノーワーク・ノーペイは労務管理業務で真っ先に叩き込まれる大前提だから、国が率先してその前提を崩すような真似をすることははなはだ望ましくない。第一、労働に正当な報酬を与えるというのはごく基本的な道徳だと思うのだけど。
サービス残業と称されるタダ働きが横行する日本はその意味でも道徳的な社会とは言えない
ボランティア? - bat99の日記


 非国民通信さんのこちらの記事を読んだのだが、状況はますます悪化しているな。

 例えば、欠勤した運転手に代わって、ダイヤ上の公休日に運転した場合、終日時間外勤務として扱われる。時間外手当の平均は四百六十三時間あり、年間に一千四十八時間分の手当を受けた運転手もいた。

 同局は「特殊勤務手当の見直しを実施しており、今後も時間外勤務の縮減に取り組みたい」としている。
市バス運転手の3割、年収1000万超 神戸

 雇用主の都合で休日に仕事をさせれば、休日出勤で終日時間外扱いになるのは当然だろう。年平均463時間ということは、一日当たり8時間として計算してほぼ58日になる。1,048時間では131日に相当する。週休2日で正月、お盆の休みを入れたとしても年間131日の休日を与える所はそうはない。代わりの休みは与えていたのだろうが*1この部分だけで相当に過重な労働だろう。

 そういったところを批判せずに、法で定まった手当*2を不当な収入のように語るのは言外にただ働きしろと言っているとしか思えない。

 私はこの国の為政者が語る道徳の中には「他人の労働に敬意を払う」という項目は含まれていないのではないかと疑ってしまう。働かない人・働けない人に対する非難を聞いていると、働いて当たり前でその労働に敬意を持つという意識自体持ち合わせていないのではないか。

*1:というより与えていなかったら体が持たないだろう

*2:時間外勤務に割増を付けて賃金を支払うことは労働基準法第37条に規程がある。